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医師コラム

ニキビに関する当院の治療方針と方法

ニキビは慢性疾患であり治療にとても時間がかかりますが、患者様それぞれにあった治療法があります。当院でのニキビに関する治療方法をお話します。

にきび治療

ニキビ(尋常性ざ瘡)は中学生ごろから高校生にかけて症状のピークを迎える慢性炎症性皮膚疾患です。
長らく、ニキビ菌に対する抗菌剤による炎症性皮疹(赤ニキビ)に対しての治療が行われておりましたが、本邦で2008年にアダパレン、2015年に過酸化ベンゾイルが治療に加わり、非炎症性皮疹である面皰(白ニキビ 黒ニキビ)の治療が導入され保険内での治療の幅が広がりました。
一方で保険内治療では難治なニキビや、ニキビ跡の治療など美容面からのアプローチもします。

ニキビ治療

ニキビ(尋常性ざ瘡)は中学生ごろから高校生にかけて症状のピークを迎える慢性炎症性皮膚疾患です。
長らく、ニキビ菌に対する抗菌剤による炎症性皮疹(赤ニキビ)に対しての治療が行われておりましたが、
本邦で2008年にアダパレン、2015年に過酸化ベンゾイルが治療に加わり、非炎症性皮疹である面皰(白ニキビ 黒ニキビ)の治療が導入されました。

治療の目標

ニキビは皮脂の分泌が亢進したり、毛穴に角質が詰まることにより発症します。 年齢やホルモンバランスの変化、ストレスなどが誘因になると考えられています。

原因がはっきりしている場合はまずそれに気づきを取り除きニキビを軽快さ せることが大切です。ニキビはすぐに良くなるものではなく根気よく少なくとも3ヶ月、年齢や肌質によっては数年の治療となります。

症状に応じた治療やスキ ンケアにより 肌をより良い状態を保ち、ニキビ跡の陥凹を作らないようにする ことが治療の目標と考えています。当院では以下の治療を行なっています。

保険診療

種別 治療名 当院での対応
外用 BPO.アダパレン
内服 ビタミン剤
抗生剤
処置 ステロイド局注
(ケロイド挫瘡)
施術 面皰圧出

自費診療

種別 治療名 当院での対応
外用 アゼライン
内服 ピル
施術 NdYAG(赤ら顔)
CO2フラクショナル
レーザー(凸凹)
ケミカルピーリング
イオン導入
IPL
アレキサンド
ライトレーザー

治療の流れ

クリニックでの治療に来られる方の中で「何件もクリニックに行っているがよくならない。」と言って来られる方を多くみます。
その多くの方が、「1か月も頑張っているのに治らない。」

「赤いニキビがいつまでもある。」「出された薬は副作用があったからすぐにやめた。」
クリニックでのニキビ治療は満足度の非常に低い方が多いのも事実です。

当院でまずお話しすることは「ニキビは慢性疾患である」という認識をしてもらうことです。
肌の新陳代謝にかかる期間としてまず3か月を1クールとしてしっかりと治療をしてもらいます。

受診のきっかけは膿んだニキビが増えたことにあるのでとにかく早く治したい一心で多くの方が「塗り薬でなく、内服下さい。」と言われます。

赤く膿んだニキビが片方の頬で10個以上あるときは抗生剤を短期で出すこともあります。「ビタミン剤もください。」と言われますが、日本皮膚科学会の尋常性ざ瘡のガイドラインでは推奨度はC2で飲んでもいいが推奨はしないとなっています。普通に食事のとれている方にはご希望でサプリメントを取るようにお話ししています。

日本人ではニキビは軽症~中等症の場合が多く治療の中心は外用薬になることが多くなります。
外用薬との相性を1週間外用してもらい、カサカサ、赤みは10日から2週間をピークとなり3週間くらいすると一時プツプツと表面に面皰が表れて増悪するかのような時期があります。

この時にいじってつぶしさないことを約束してもらいます。
赤く膿んだニキビをつぶすことで、将来陥凹ができてぼこぼこ肌になってしまうからです。さらに外用を続けるとプツプツが減ってきて手触りが変わってきます。
1か月後超えると皮むけ、赤み、乾燥感が楽になってきます。この状態で3か月継続してもらいます。
赤く炎症の強いニキビが多数みられる場合は短期で抗生剤内服をすることもあります。ニキビ跡の赤みは半年以上かかることをしっかり理解してもらいます。

3か月たったところで継続するのか、変更するのか、減量して中止方向に行くのか、美容に移行するのか治療の方向性を再度立て直します。
受診のきっかけは膿んだニキビが増えたことにありますが、そのもとになる面皰が残存していることもあり1年程度継続することもあります。

いずれにしてもニキビ治療は時間がかかります。最終目標は「つるつるの美肌になりたい。」「将来へぼこぼこした肌になりたくない。」「膿んだり痒くなったりしたくない。」どこに目標があるのかを見据えながら、計画を立てていきます。

ニキビの外用治療(保険治療)

ニキビは開放面皰(黒ニキビ)閉鎖面皰(白ニキビ)紅色丘疹(赤ニキビ)膿疱、瘢痕(ニキビ跡)が混在しています。
外用と併用して、1か月後に再診してもらいます。膿んだニキビのみでなくその原因となる面皰を治療することでニキビのできにくい安定した肌を作り出すことが 可能となりました。

それらの薬剤としてアダパレンと過酸化ベンゾイルがあります。
2008年にアダパレンが保険治療で可能となり、面皰(白ニキビ)に対しての治療が可能となりました。毛穴の中の皮脂の貯留を改善させるということでざ瘡を抑えるという維持療法が確立しました。

また2015年には過酸化ベンゾイルが保険治療で可能となり、抗酸化作用や、皮膚剥離作用、抗菌作用を持つ薬剤を使用することで薬剤耐性菌の回避が可能となりました。
従って、これらを赤く膿んだニキビに抗生剤外用と併用することで薬剤耐性(抗生剤が効かなくなる)を回避して治療を継続することが可能となりました。

保険適応

  • ディフェリンゲル ® (アダパレン)外用 [図内:① ②]
  • ベピオゲル ® BPO 製剤)の外用 ①
  • デュアックゲル ® BPO 製剤+抗生物質)の外用 [図内:① ③]
  • イオウ製剤の外用 [図内:① ②]
  • 抗生剤の外用、または内服 [図内:③]
  • 抗真菌剤の外用(マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎合併)
  • 漢方薬の内服

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剥離(アダペレン、過酸化ベンゾイル)使用のコツ

基本的な薬の使い方

  • 上眼瞼、口唇を除く全顔に外用をすること
  • 手のひらの面積に対して人差し指から第一関節まで(1FTP)出して外用する
  • ゲル外用剤を洗顔後直接塗る
  • 薬が十分吸収した後乾燥感がある場合は保湿クリームを使用する。
  • 朝は洗顔をして通常のスキンケアをする。

副反応である皮剥け、乾燥感、赤みは薬の皮膚剥離作用の効果でもあります。これを減弱させて使う方法では 効果も減弱します。バランスが大切です。

基礎化粧を全部してから薬を塗るということは効果が安定しません。まず、薬は直接肌に塗るという基本に忠実に外用してください。
薬を塗るエリアは薬を、塗らない目周りは基礎化粧を 口唇はリップクリームをつけてください。

副反応は薬に対する個人差もあること、また薬に対してのアレルギー性接触皮膚炎は過酸化ベンゾイルでは3~7%と幅がありますが、大体20人に1人くらいは合わない人がいることも事実です。薬が合わない場合は1週間程度で皮膚がむくみ固くなり、まだらに赤くなりぶつぶつして強いかゆみがあります。症状が強いと水泡が出て浸出液が流れたりすることもあります。1か月程度して急に接触性皮膚炎が出ることもあるので定期的に診察をしてください。

薬の使い方のTip :量と時間

  • 額のみに外用して1週間薬との相性を確認してそののち全顔に広げる
  • 通常量で反応が強いときは2-3割減量して外用する。
  • 反応は3日ほど遅れるため3日間 同じ量を塗って様子を見る。
  • それでも反応が強い時は入浴後に外用して寝る前に洗い流す(時間短縮)を2週間やってから時間を延ばしていく

参考文献

ニキビ Q&Aをご覧ください(日本皮膚科学会)